2005.10.20更新
§1 で実数体R の 2次の拡大体として複素数体 C が定義された。
CR には含まれない x2 + 1 = 0 を満たす特別な元 x を含み、 これを i で表す(虚数単位)。
C は 1, i を基底とする R上のベクトル空間とみなすことができ、
C の任意の元を、a, b ∈ R を用いて a + b i と表すことができる。


共役
a + b i ∈ C に対し a - b i をその共役と呼ぶ。
α ∈ C の共役を α~ で表す。

(1) α ∈ C の共役をとる演算 α → α~ は、C の自己同型である。
(2) C の同型で部分体 R の元を動かさないものは、恒等写像と共役をとる演算に限る。

(1)の証明:

まず 体C の自己同型の定義から確認しておく。
σ:CC が自己同型であるとは、σが C の体としての演算である加法と乗法を保つこと、
すなわち z, w ∈ C に対し、 を満たすことである。共役をとる演算についてこの2つが成立していることを確認すればよい。

a + b i, c + d i ∈ C に対し、C における加法と乗法は以下のように定義されていた。

したがって、まず加法については
[(a + b i) + (c + d i)]~ = [(a + c) + (b + d)i]~
= (a + c) - (b + d)i
(a + b i)~ + (c + d i)~ = (a - b i) + (c - di)
= (a + c) - (b + d)i
となり、 [(a + b i) + (c + d i)]~ = (a + b i)~ + (c + d i)~ が成り立つ。

乗法についても
[(a + b i) (c + d i)]~ = [(ac - bd) + (ad + bc)i]~
= (ac - bd) - (ad + bc)i
(a + b i)~ (c + d i)~ = (a - b i) (c - d i)
= (ac + bd) - (ad + bc)i
となり、 [(a + b i) (c + d i)]~ = (a + b i)~ (c + d i)~ が成り立つ。

したがって共役をとる演算は C の自己同型である(証明終)。

(2)の証明:

σ:CCR の元を不変にする C の同型写像とする。
このとき a + b i ∈ Cに対して
σ(a + b i)=σ(a) + σ(b i)
=σ(a) + σ(b) σ(i)
=a + b σ(i)(∵σ は R の元を不変にする)
仮に σ(i) ∈ R であるとすると、a + b σ(i) ∈ R となり、
∀a + b i ∈ Cに対し σ(a + b i) ∈ R となってしまうから σ(i) は純虚数。
そこで c ∈ R により、σ(i) = c i と書ける。
σ(-1)=σ(i2)
=σ(i)σ(i)
=(c i)(c i)
=-c2
σ(-1) = -1 だから -c2 = -1 となり、c = 1 または -1 でなければならない。

c = 1 なら σ(i) = i より ∀a + b i ∈ Cに対し
σ(a + b i)=σ(a) + σ(b) σ(i)
=a + b i
となり、σは恒等写像。これは C の自己同型である。

c = -1 なら
σ(a + b i)=σ(a) + σ(b) σ(i)
=a - b i
となり、σは共役をとる演算。これも C の自己同型である。

以上から C の同型で部分体 R の元を動かさないものは、
恒等写像と共役をとる演算に限ることが示された(証明終)。


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    $Id: 01.html,v 1.2 2005/10/20 04:05:32 kame Exp $